新宿文化センターのオルガン
わが国最初の本格的な、カヴァイエ=コル型大型オルガンで、フランスの古典期から、ロマン派、近代のオルガン作品が十分に堪能でき、尚かつ幅広いレパートリーに対応できるよう、建造されています。製作は、長年に渡ってフランスの歴史的名器を修復、再構築してきた由緒ある工房、アルフレッド・ケルン社によるもので、その確かな技術、すぐれたバランス感覚が生み出す優雅で多彩な響きは、高く評価されています。二代目の親方であるダニエル・ケルン氏は、当ホールのオルガンのタイプを決定するに当たり、フランストゥールーズ市にあるサン・セルナン教会のカヴァイエ=コル作のオルガンを基礎としました。カヴァイエ=コルは、フランスのロマン派オルガンの代名詞となった名工で、基音を充実させた豊かな音量、シンフォニックな響きは、セザール・フランクを始め多くの作曲家を魅了し数々の名曲を生みました。サン・セルナン教会のオルガンは、1889年に完成したもので、コルの楽器の中で最も美しいと言われています。それは、この教会に1672年初めてオルガンが置かれ、序々に改良、拡大されていった歴史が物語るように、古典期の洗練された透明の音色の上にロマン派の雄大さを加味した、フランス・オルガン製作の、数世紀に渡るすぐれた伝統技法が刻まれているからです。
新宿文化センターは、この魅惑のオルガンを迎え入れる為にホールを改築しました。座席数1,802を容する大ホールに、最も美しく響くよう作られた、大オルガンならではの、多彩な音の万華鏡を、どうぞ味わってみてください。
また、このオルガンは、フランスオルガン界の重鎮 ミシェル・シャピュイ氏によって鑑定され、1991年10月、同氏による披露演奏会が行われました。
世界中の人々に感動を与え続けた巨匠シャピュイ氏は、2017年11月12日、88歳のお誕生日を前に天に召されました。
謹んでご冥福をお祈りします。
パイプ数 | 5,061本 70ストップ |
演奏台 | 4段手鍵盤 白鍵/天然骨材 黒鍵/黒檀 足鍵盤/樫木製 |
送風機 | 1,400回転/分 |
オルガンケース | ケース/樫むく材 羽目板/くり型装飾 |
総重量 | 約26t |
設計・製作 | アルフレッド・ケルン オルガン製作所 (フランス・ストラスブール市) |
組立・調整 | アルフレッド・ケルン オルガン製作所 ヤマハ株式会社1991年(平成3年)設置 |
監修者 | ミシェル・シャピュイ |
≫パイプオルガンDISPOSITION
≫パイプオルガンの練習利用
工房での組み立て | 全面パイプの取付 | 内部のパイプ群 | 整音作業 | |||