中村彝アトリエ記念館とは
中村彝(つね)は大正期に活躍した洋画家で、大正5年(1916)、落合村下落合464番地(現・新宿区下落合3-5-7)にアトリエを新築しました。
彝の没後、このアトリエは彝のもとに集まった画友らを中心とした中村彝画室保存会により保全され、やがて洋画家の鈴木誠(1897~1969)の所有するところになり、今日まで保存されてきました。
この記念館は、後年増改築された建物を、大正5年建築当初の姿に復元したものです。当時の部材も数多く活かして復元されたアトリエは、この記念館の最大の財産です。彝が病魔と闘いながら制作を行ったこのアトリエを、関連展示とともに、ごゆっくりご覧ください。
中村彝(1887-1924)
現在の茨城県水戸市金町に、旧水戸藩士中村順正と妻よしの三男として生まれました。
まもなく父を亡くし11歳のとき母を亡くすと、東京市牛込区原町に住む陸軍軍人の長兄を頼って上京しました。牛込や大久保に住み、愛日尋常高等小学校(現 愛日小学校)を卒業、早稲田中学校に入学しますが、長兄•次兄と同じく陸軍軍人を目指し、名古屋陸軍地方幼年学校に進みます。しかし、17歳のとき肺結核となり軍人の道を断念、療養のため訪れた北条湊(千葉県館山市)で風景を写生し、この頃から洋画家を志します。