◆終了しました◆新宿歴史博物館 令和4年度所蔵資料展「岩田ガラス新収蔵品展」展示の見どころ

「岩田ガラス新収蔵品展」展示の見どころ

   岩田ガラス新収蔵品展チラシはこちら→(チラシ表 チラシ裏

   岩田ガラス新収蔵品展出品目録はこちら→(出品目録

岩田藤七(いわた とうしち 1883~1980)は、日本のガラス芸術界のパイオニアです。それまでガラスを使用した芸術的な作品は作られていなかった日本で、宙吹き(ちゅうぶき)技法〈中空のさおの先に溶けたガラスをつけ、息を吹き込んで形成する技法〉による色ガラスの豊かな色彩と自由な造形の作品を作り上げ、日本のガラス芸術を築き上げました。

また、藤七の長男である久利(ひさとし 1925~1994)も父と同様ガラス作品の作家となり、繊細で華麗な作品を残しました。久利の妻の糸子(1922~2008)も独自のガラス作品を制作するようになり、高く評価されています。

さらに久利、糸子の娘・ルリ(1951~)もガラス作家となり、器のみでなくガラスによる現代美術の表現など、多彩な活動をしています。

岩田家は新宿区弁天町に在住していた、区ゆかりの芸術家です。新宿歴史博物館では岩田藤七、久利の作品を収集し、数回の展示会を行ってきました。今回は、令和元年(2019)に岩田ガラスの関係者から、岩田ガラス作品、関連資料80点余りの寄贈を受けたものについて、当館初公開します。

まずは藤七の作品です。

藤七は貝をモチーフにした作品を多く作りました。これもその一つです。「紅(くれない)」という名が付けられています。

岩田藤七 貝「紅」

岩田藤七 貝「紅」

これは鉢で「揺れる」と名が付けられています。ほぼ透明な船形をしたガラスに青色が付けられています。さわやかな作品で、日常でも使いたくなります。

岩田藤七  ガラス鉢「揺れる」

岩田藤七  ガラス鉢「揺れる」

久利の作品、ガラス花器「黒窯天通文壺(こくようてんつうもんつぼ)」です。黒いガラスの壺に流し釉で付けたような文様があります。

岩田久利  花器「黒窯天通文壺」

岩田久利  花器「黒窯天通文壺」

これはガラス花器「金茶硝子大壺(きんちゃがらすおおつぼ)」です。久利は、マット仕上がりの作品を多く作りました。これは金が混ざり豪華な感じがします。

岩田久利 花器「金茶硝子大壺」

岩田久利 花器「金茶硝子大壺」

久利の妻・糸子の作品です。糸子は岩田工芸硝子の経営を助けるためにガラス作品の制作を始め、独自の作品を作りました。これは、ともに花器です。上は「蕾(つぼみ)」と名前がつけられています。色も形もとても自由です。

岩田糸子 花器「蕾」

岩田糸子 花器「蕾」

岩田糸子 ガラス花器

岩田糸子 ガラス花器

久利と糸子の娘・ルリは、独自の創作活動を行う現代作家なのですが、博物館に収蔵されているものは、ガラスそろばんです。これは大きなもので長さは70㎝あります。知り合いのそろばん塾の先生から頼まれて制作したもので、珍しいものです。

イワタルリ ガラスそろばん

イワタルリ ガラスそろばん

岩田家以外にも、新宿ゆかりの人物の作品があります。デザイナー長沢節(ながさわ せつ)(1917~1999)が描いた岩田ガラスの包み紙です。長沢節と久利は若いころからの友人で、戦前は共に豊島区の長崎アトリエ村に住んでいたこともあります。長沢が長年校長をしていたセツ・モードセミナーは、博物館のすぐ近くの新宿区舟町にありました。

長沢節 岩田ガラス包装紙

長沢節 岩田ガラス包装紙

このような岩田ガラス作品と資料が80点あまり展示されています。皆さまも多様な色彩と形の岩田ガラス作品の展示をお楽しみください。

【開催期間】
令和4年4月16日(土)~5月29日(日)
【時間】
9:30~17:30(入館は17:00まで)
【休館日】
令和4年4月25日(月)、5月9日(月)・23日(月)
【会場】
新宿歴史博物館 地下1階企画展示室
【料金】
無料
【お問い合わせ】
新宿歴史博物館 03-3359-2131